ふるさとしまね原風景
築地松(ついじまつ)[島根県斐川町]
島根県東部に広がる出雲平野は県内で最も大きい平野で、
宍道湖にそそぐ斐伊川と、日本海に注ぐ神戸川が運ぶ土砂によってできました。
この地にある家々は南に面し、屋敷の北および西に築地松を植えています。
昔、斐伊川はたびたびはんらんしていました。
その時に浸水したり家が流されないように土を積み上げ、その積み上げた土を固めるために樹木を植えたとも、冬の強い季節風を防ぐためともいわれています。
堂々とした築地松の姿は出雲平野ならではの景観を作り出しています。

陰手刈り[のうてごり](斐川町)
 陰手刈りは、4〜5年間に一度行われる築地松の剪定作業のことで、明治から大正期にかけて始まったといわれています。陰手刈りは、築地松の形を維持し、田畑や屋敷に日陰ができるのを防ぎ、風通しを良くし、防風による倒木を防いだり、松くい虫から松の木を守るために行われます。
  陰手刈り後、幾何学的な造形美を取り戻した築地松。すっきりと透かれた枝葉はまるでレースのカーテンのようです。雄々しさと繊細さ。築地松独特の存在感と美しさは、陰手刈りによって生み出されるのです。
大社の祝凧[いわいだこ](大社町/高橋嘉子さん)
 大社町では古くから祝い事があると、鶴亀一対の祝凧が、稲佐の浜に揚げられる風習があった。この祝凧は、出雲大社の背後にそびえる鶴山・亀山にちなんで元禄時代から作られた。
  竹ひごの切断から型作り・和紙貼り・絵描き・乾燥と全てが手作業。一番慎重になるのが糸取りの作業。凧のバランスにかかわる工程なので神経を集中させる。ひとつ作るのに4、5日はかかる。
  「楽しいのは竹ひごを作る時」と語る高橋さん。竹をなたでスパッと割ると、気持ちがスッとするという。力のいる作業は少しずつ若い人にしてもらうそうだが、先代から引き継いだ伝統工芸を次の世代へと確実に伝えるため、これからも目を光らせながら製作に打ち込んでいく。
十六島海苔[うっぷるいのり](平田市)
 正月の雑煮に欠かせない食材として、古くから珍重されてきた十六島海苔。
  十六島(うっぷるい)というのは平田市の日本海側にある地名。十六島湾近辺でしか採れない海苔は、きめが細かく髪の毛のようにしなやかで、紫色をともなった漆黒の光沢と鮮やかな磯の香りを放つ。その自然が生み出した芸術品ともいえる貴重な海苔は、年の初めを祝うのに相応しい繊細さと気品を備えた海からの贈り物だ。湯気の中で白い餅を覆うように黒々と緩やかに広がる海苔は、繊細な歯ごたえと、ほのかな潮の香りを放ち、軟らかな餅の食感とともに正月を実感させてくれる。
  その十六島海苔の歴史は古く、奈良・平安時代にはすでに貢納品として朝廷に贈られていた。
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