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中尾厚子さん(72歳)
念願叶った故郷・津和野へのUターン 土蔵のある町家をギャラリーにして 夫婦二人三脚の芸術スローライフ
 津和野町で『ギャラリー クンストホーフ津和野』を開く、陶芸家・中尾厚子さん。夫であり、幼なじみでもある、靖(せい)さんとともに、東京都東久留米市から、故郷・津和野に戻り5年が経つ。津和野の老舗料亭に生まれ、独身時代は実母と料亭を切り盛りしてきた厚子さん。大手メーカーの技術者だった靖さんとの結婚で津和野を離れた。夫の転勤先の栃木で陶芸と出会い、昭和59年の全陶展初入選を皮切りに、活発な作家活動を開始。その後の東京生活では陶芸家としてますます充実し、平成11年には初の日展入選も果たした。「自宅に窯を構えたことでさらに本格的になっていった感じ。それに東京は公募展なども多く、陶芸家にとって刺激の強い場所なんです」と笑う。
 東京の自宅に構えた窯の名前は『遊亀窯(ゆうきがま)』。これは生まれ育った料亭『遊亀』から名付けたもので、「作品は津和野をイメージしたものばかり。作陶中は気づかなくても、意識の先に必ず津和野があるんです」と厚子さん。
 そんな故郷への思いは靖さんも同様で、「定年後は津和野に帰ろう」といつも話し合っていたというが、なかなか良い物件が見当らず、今の家の売却情報を知った6年前にようやく実現に向かった。  「実家の目の前の家で、なによりもご近所として慣れ親しんだ場所。子どもたちも独立し、夫婦二人でのUターンには不安もあったけど、ここなら安心」と即決した。
 厚子さんが、「私よりも津和野を愛している」という靖さんは、津和野のボランティアガイドをしながら、陶芸家として忙しく飛び回る厚子さん不在時のギャラリーを守っている。
 当の厚子さんも、今年から津和野町観光協会理事に就任し、観光アートイベント『津和野in和魂』ではキルト作家を招くなどプロデュース活動もおこなっている。
 「町にお世話になっている分、今回のように芸術的な分野で東京との架け橋になったりと、私のできることで恩返ししていきたい」と厚子さん。  ギャラリー名『クンストホーフ(ドイツ語で芸術広場という意味)』のとおり、芸術を合い言葉にした有意義な津和野づくりを目指している。

忙しく飛び回る厚子さんに代わり、お店を切り盛りする靖さん。


ギャラリーには次男でドイツ在住の画家・中尾成さんの絵画も展示されている。


厚子さんの作品すべてに故郷・津和野への思いが込められている。


津和野観光の中心地、本街通りにある『ギャラリー クンストホーフ津和野』
 
 
 
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