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稲積 慎吾さん(73歳)・みどりさん(63歳)
弘化年間生まれの古民家を守るため 再生にかけるこれからの生き甲斐と そこから広がる人々の交流の輪
 長く暮らした横浜を離れ、約60年ぶりに故郷邑南町(旧石見町)に戻ってきた稲積慎吾さん。みどりさんも山口出身ということで、お二人それぞれに感慨深げだ。
 定年後は帰郷する予定だったというが、一番の理由は、自分の生まれ育った家を残したいという思いだった。
 「1844年に造られていますから、もう170年近く経っているんです。当然老朽化の問題が一番の悩みでした」と苦笑い。
 そこで相談したのが『NPO法人日本民家再生協会(JMRA)』。そこから、設計事務所や工務店、古民家研究家など、県内外の専門家との人脈が繋がり、それをきっかけに、稲積家再生はどんどん本格化していく。
 「最初はもっと簡単に考えていたんですが、みなさんとお話するうちに、この家をちゃんとした形で残しておかねば!という強い気持ちが生まれてきたんです」と慎吾さん。
 自身もJMRAのメンバーとなり、登録文化財から国土交通省の補助金などの各種申請、再生のための様々な手続きをこなしていく。なかでも印象深いのが、痕跡調査の専門家との出会いだったという。
 「素材や年代等、細部に至るまで部材を調べるのが痕跡調査です。そのアドバイスに基づいて、元の部材になるべく近い材料でリフォームしていくわけです」と新たな目標を見つけたように活き活きと語る慎吾さん。
 現在、残り半分となった再生作業を継続しつつ行っているのが、稲積家を使った各種のイベント。
 「交流が広がったことで、イベントスペース利用の声が掛かるようになって、子ども神楽やコンサート、大学生のワークショップと、去年だけで40以上ものイベントを開催したんですよ」と慎吾さん。
 帰郷から再生と、共に歩んできたみどりさんも、「最初は戸惑いもありましたが、この家を通じて、いろいろな人に出会える楽しさを満喫しています」と嬉しそう。
 お二人の第二の人生はやり甲斐に満ち溢れているようだ。



庄屋だった稲積家。広大な土間に向かって座敷が三つ連なり、濡れ縁へと続く。


土間には、設計事務所が作成した稲積家の精巧なミニチュア模型が置かれる。


地域の小学生が稲積家に2泊3日宿泊し学校に通う通学合宿の様子。


断魚渓沿いに走る国道からもはっきりと確認できる存在感のある稲積家。
 
 
 
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