シニアライフ
 

橋本白道さん ベアトリースさん
美郷町湯抱窯元「石見 鴨山(おおざん)窯」 
「陶芸ギャラリー 森山」主催
玄関に向かって、半分(南天の木)から左が良二さんのギャラリーで、右が玉恵さんの仕事場。良二さんの窯は、ギャラリーから少し下った別棟にある。普段から会話の多いご夫妻だが、お互いの仕事には一切口出ししないというのがルール。ギャラリーの前半分は生家の間取りを活かし、後ろ側は完全に良二さんの手作り空間で、全く違う雰囲気なのが面白い。
森山良二さん 玉恵さん
良二さんギャラリー
良二さんの仕事場は離れにある。家業が林業だっただけあり、とにかく敷地が広い。離れの前にある広場は恰好のイベント会場になる。

玉恵さん仕事場
仕上げたばかりの原稿が吊されているのが、いかにも漫画家さんの仕事場。締め切り前は近づかないようにしていると笑う良二さん。


理想の創作環境を求め たどり着いた島根で ついぞ知らぬ日本の魅力を発見
  美郷町湯抱温泉で、窯元「石見 鴨山窯」と「陶芸ギャラリー 森山」を開く、陶芸作家、森山良二さん。奥様の玉恵さんもプロ漫画家という創作家夫妻。良二さんの生家を改装したこの窯元&ギャラリーを仕事場兼住まいとして33年が経つ。
 20歳で画家を目指して上京した良二さん。当時の師匠の「人それぞれが立って生きるべき土地がある」という言葉にうたれ、30歳にして帰郷を決意。すでに結婚し、一男をもうけていた玉恵さんも、漫画家を目指して上京していた身でありながら、良二さんの考えに共感し美郷町暮らしを快諾する。
 ともあれ帰郷後は夫婦揃ってゼロからのスタート。良二さんは、家業(林業)をしながら夜を創作にあてる毎日。玉恵さんも、東京から遠く離れたことでやる気を発奮。結果、玉恵さんは美郷町からプロデビューが決まり、以来、30年近くもメジャー誌で作品を発表し続けている。
 絵画一辺倒だった良二さんが陶芸に転向したのは、地域の老人を対象にした高齢者教室でのこと。「『陶芸もやってみたい』と言われ、じゃあやってみようかと土を触った瞬間、頭の中が陶芸に切り替わってしまった」と笑う良二さん。
 それまでの絵をパタリとやめ、陶芸のみに打ち込み始める。独創的な作品はもちろん、講師としても人気を博し、大阪の教室へは15年間通い続けた。
 そんな夫妻の生活も、ギャラリーを構える現在のスタイルになって早5年。春と秋に湯抱温泉全体を巻き込んで主催する「陶芸まつり」も遠方から大勢の人が集まってくるほどの盛況ぶりで、地域に元気を与えている。
 「土地の人間であることを改めて見直している最中。美郷ならではの山や森の文化を完成させたい」とますます陶芸に打ち込む良二さんと、それを見守りながらケント紙にペンを走らせる玉恵さん。お二人の美郷生活は今、円熟期に達しているようだ。

Beans Top> バックナンバー >Vol.35