しまねスマイル 〜“素敵”に“自分らしく”そして“笑顔”で生活を送る島根の「笑顔の種(人)」を紹介します 〜
 

  母親の視点で見つけた山陰の素晴らしさを発信
 ウェブサイト『SLOW+SLOW』での情報発信を軸に、地元作家やショップとコラボレーションした朝市の開催など、女性らしいやわらかな発想力と感性で話題をあつめている『NPO法人 くらしアトリエ』。
 活動の発端は5年前。もともと知り合いだった代表理事の栂慈子(とがいつこ)さんと、副代表を務める今若麻希子さんの「山陰がつまらない。私たちで何か出来ないだろうか?」という思いからだった。
 都会と比較しがちな若い頃の感情そのままに、生まれ故郷の山陰にさまざまな不満を抱えていた2人。しかし、お互い出産を経験し、母親になったことで、そうした感情が薄らいでいく。
 『子どもを連れていろいろと出かけるたび、どんどん視界が変わって いったというか…「よく見たら山陰っていいところじゃない!』って(笑)。五感をフ ルに使って遊ぶ子どもたちに付き合ってみて、はじめてそれが分かったんです」。
 「いまここ(山陰)に暮らすということを大切にしていきたい」。その思いを自分たち以外の人にも伝えようと『 SLOW+SLOW』を開設。これは2人ともが転勤族のご主人を支える主婦として、そして小さな子をもつ母親として、どこにいっても活動するためのアイテムだった。
 ウェブ起ち上げ時には、ものづくりを担当する3人目のスタッフも加わって静かにスタート。やがてウェブが評判を呼び、第1回目のイベント開催へと繋がっていった。
 当時を振り返り、「形としては成功。でも何か物足りなかった」という栂さん。「ものをつくり販売するという、イベント主体の活動スタイルに疑問を持ったんです。私たちは、私たちが提供する『もの』から伝わってくる物語性を伝えたいはずなのに、と。それで行き詰まっちゃって…」。

(上)さる10月、「くらしアトリエ」の本拠地を置く雲南市大東町の畑地区でおこなわれた恒例の秋祭りの模様。栂さんたちはサポートメンバーとともに展望台カフェを開催。地元の人々はもちろん、旧知の友人たちも集まり、なかなかの盛況ぶり。「畑地区の仲間に入れていただいたからには、その地域のルールを尊重しながら深く関わっていくことが重要」と栂さんは語る。
(下)NPO発足前からのイベント「朝市」も、栂さんたちならではのセンスとアイディアで毎回好評を博している。写真は、「海辺のピクニック朝市」、「落葉とおさんぽ朝市」等の模様。落葉イベントでは開催時間の10時から14時の間に約1000人もの来場者があった。


  『NPO法人 くらしアトリエ』設立は決意の証
  『NPO法人 くらしアトリエ』は、そうした問題と向き合い、「多くの人たちにもっと山陰を好きになってほしい」という自分たちの目的を再確認するための必然的設立だった。
 法人化にあたっての事業は、好評を博していた朝市から。「共有する時間、雰囲気を感じて、少しでも楽しい明日を提供したい、が朝市のテーマ。販売するパンや牛乳、ジャム、お菓子等、プロの生産者とコラボした商品を毎回開発しています。生産者のPRにもなるし、来た人たちも山陰のこだわりの数々が一堂に見られるんです」。販売する商品は、売れ残っても自分たちで買い取れるかどうかが基準。「そこまで惚れこんだ商品じゃないと販売できない」と売り手側(イベント主催者)の決意と責任感をのぞかせる。
 現在、大東町畑地区(雲南市)の古民家に拠点を構え、ウェブ運営と朝市開催はもちろん、地域創作家の企画等による中間支援、地域デザイン事業など、4つの柱で元気に活動中だ。「拠点を提供してくれた地域への恩返しも大切な要素。地域イベントにも積極的に参加していくことで、深く関わっていきたい」。
 在所不定だった活動が、NPO法人化し、拠点を持つまでに発展したわけだが、「前にも増して、『どこに暮らすか、ではなく、どう暮らすか』を大切にした活動を心がけていきたい」と熱い。
 これまでの自由な立ち位置から、雲南市に居所を定めたくらしアトリエ。それが刺激となり、さらに新しい発見を提供してくれそうだ。

(上)本拠を構えて最初の大きなイベントとなった「くらしの学校」。ワークショップを中心に地物を使った給食もあるなどユニークな内容。「普段の暮らしを楽しくする方法を提示したい。大人だからこそ、好きなことに打ち込むきっかけづくりを」と栂さん。始まったばかりの企画なので、さらに面白く発展する可能性も秘めている。
(下)「くらしアトリエ」が発信するオリジナリティあふれるアイテムたち。パッケージングや包装紙の材質までこだわるところがくらしアトリエの真骨頂。小物類から食品など地元作家たちの作品や商品に「くらしアトリエ」のエッセンスをふりかけると独特な柔らかさが生まれる。

2005年3月、任意団体として発足、2007年12月に「特定非営利活動法人くらしアトリエ」を設立。
特定非営利事業として
 1.WEB発信事業 「SLOW+SLOW」の運営、企画等
 2.ものづくり支援事業 ものづくりをする人の支援、地域のものづくり共同開発、生涯学習事業等
 3.朝市事業 山陰の素晴らしい風景を背に、こだわりのおいしいもの、ワークショップなどの朝市企画運営
 4.地域デザイン事業 山陰を中心とする各種団体とのデザイン活動、出版企画活動、自治体や団体との協同イベント企画等、4つの事業を軸にして活動。
住所:雲南市大東町畑鵯(はたひよどり)733番地
詳しくはウェブサイト『SLOW+SLOW』  http://www.slow-slow.com
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