若者チャレンジ

メインとなる家具製作に加え、最近では伝統工芸の世界にもチャレンジ。 挑戦開始の昨年秋には、県芸術文化祭総合美術展、日本伝統工芸中国支部展でそれぞれ入選。 さらに全国規模の日本伝統工芸展「木竹工芸の部」でも初出展で初入選を果たす。 「伝統工芸の繊細な作業を家具作りに反映させていきたい」と村山さん。
好きな言葉は、木も人も「一期一会」。
■松江市大庭町 『かんべの里』 http://kanbenosato.com/

こだわりのある曲線がモチーフの
「彫(ちょう)」と、松・欅(けやき)
のカップ。

 第34回島根県芸術文化祭総合
 美術展(県展) 彫刻部門銀賞
 「Ki-Zu-Na」2001
未来の自分は?
藤田先生のように、自分の考えていることすべてが伝わるようなものづくりができていたらいいですね。 先生の作品はすごいんですよ!まるで木が両手を広げて喜んでいるような感じ。 先生本人も不思議な魅力を持った方なので、人間的にもそうなっていきたいです。

村山創達さん 東出雲町出身(30歳)

向かい合い、語り、そして学ぶ、“木の声”に耳をかたむける職人ライフ

 出雲地方の歴史文化を学ぶ体験型施設『出雲かんべの里』に自らの工房を持つ、若き木工職人、村山創達さん。 工房が施設の木工教室も兼ねるため、インストラクターと二足のわらじで仕事に打ち込んでいる。
 工作好きの少年時代から、木工職人になる目標を立てていた村山さんは、奈良県の芸術短大に進学、そこから大阪の家具会社に勤務する。
「木とナイフがあれば始められる」というシンプルな衝動が、村山さんを“ものづくり=職人”へと駆り立ててきたが、 「商品として決められたもの(家具)を作る会社の仕事は、木を扱うものづくりという方向は一緒でも、僕の目指すものではなかった」。
 システムの中に組み込まれたものづくりを経て、抱え込んでいたモヤモヤが次第に明確になっていく…。
「“手作り木工”がしたい!とはっきりと思い始めたのもその頃でした」。
 契機となったのは、平成12年、島根県立美術館で開催された、一本の木から椅子を作るというテーマのワークショップ『木の声をきく』への参加。
「ものづくりの極意を表現したようなタイトルと、告知チラシにあしらわれた鑿(のみ)などの職人道具のイメージが、頭の中でひとつになったんです」。
 このワークショップ参加が、現在に繋がるきっかけとなるが、村山さんにとって幸運だったのは、講師を務めていた 藤田丈氏()との出会い。
「藤田先生のアトリエで5年間修行させていただきました。先生に教えられたのは、木を素材として見ずに、ひとつの生き物として捉える、ということでした」。
 まるで「木の声をきく」を体現するかのような創作の世界。村山さんの求める職人の姿がここにあった。
「大切にしているのは、技術や力で木を押さえつけようとせず、自然に解放してやること…。なんて、言葉にするのは難しいですね(笑)」。
 素晴らしき人との出会い、そして、木の声を聞く日々…。村山さんの職人ライフは、“木”との対話からはじまる。
※藤田丈:『あとりえ木朴』(松江市八雲町)を主催する造形作家。木製家具
 の製作を中心に、オブジェ製作、設計、デザインなど、活動は多岐にわたる。
 
日本伝統工芸展入選作品の「松造拭漆盛器」製作には、鑿(のみ)とともに、自ら手を加えた小さな鉋(かんな)も使用。 村山さんにとって道具は職人を象徴するもの。まるで我が子を抱く親のように、手のひらに収められた鉋(かんな)同様、 仕事場にある道具は全て手入が行き届いている。



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