しまねT.R. 島根のユニーク企業紹介

安心の品質とおいしさを求めて新たな挑戦を続ける青果問屋(江津市/株式会社 永島青果)

農業参入でも卸売の強みを発揮

 江津市にある株式会社永島青果は、地元を中心に大阪や広島のほか海外にも販売ルートを広げ、着実に成長を続けている青果問屋だ。1979年に有限会社永島青果として創業以来、徐々に事業内容を拡大。卸売の実績を活かして、グループ会社の有限会社グリーンフレッシュとともに、野菜や果物の生産・加工・販売に一貫して取り組んでいる。

 近年力を入れているのが、2005年に始めた直営農園「夢ファーム井沢の郷」での生産事業だ。江津市の山あい標高約250メートルに広がる敷地は、豊かな土壌と水に恵まれた農業には絶好の場所。ビニールハウス20棟で葉ネギやほうれん草などを栽培するほか、露地栽培や野菜の開発も行っている。
「売り手から仕入れが見えるのが一番いい。農業参入は自然な流れでした」と振り返るのは代表取締役の永島孝さん。以前から安全な農作物を地元で育て、地産地消を実現したいとの思いもあり、農業参入に踏み切った。計画通りの生産・出荷はまだ難しい部分もあるが、30年間築き上げた幅広いルートで無駄なく販売できるおかげで、事業は軌道に乗りつつある。

いつでもどこでも旬のおいしさを届けたい

 (株)永島青果は、地元島根はもちろん、全国各地の生産者とつながりを持っている。旬のおいしい商品をいつでも消費者に届けたいと、永島さんが日本中を歩き回って探し出した生産者たちだ。旬というのは、1週間から10日ぐらいのほんの短い期間だそうだ。だから、常に最高においしい商品を仕入れることができるよう、いつ、誰がどこで作る作物が一番おいしいかを把握することに努めている。

中国人研修生が数名働いていて、地元スタッフとともに栽培から出荷まですべての業務をこなしながら、安心安全でおいしい野菜づくりを熱心に学んでいる。

 旬を大切にする姿勢は、昨年2月にスタートしたロシアのウラジオストクへの輸出でも変わらない。しかし、日本ほど四季がはっきりしていないロシアの取引先の社長は初め、旬という考え方にあまり馴染みがなかったという。一方、永島さんは、日本人ならではの繊細な味覚、食文化も一緒に伝えたいと考えていた。そのため、ロシアの社長を江津へ招き、鮮度の良い、旬の商品を味見してもらいながら、ロシア側の消費者のニーズにも耳を傾けた。
「細く長い取り引きをする上では、呼吸が合わないといけない。旬の大切さを丁寧に説明して、分かってもらえるまで待とうと思ったんです」。現在輸出しているのは、リンゴやミカンなどの果物が中心。一年経った今、少しずつお互いの理解も進み、順調な輸出が続いている。

今後の鍵を握る中国産農作物

日々愛情を持って野菜を育てている「夢ファーム井沢の郷」のスタッフ。

 価格、品質ともに安定した商品を供給できる秘けつは、中国に生産拠点を持ち、輸入を行っている点にもある。1998年から試験栽培を開始し、ゴボウやタマネギ、ニンジンなどを栽培している。しかし近年、冷凍食品など中国産食品の安全性に対する不安の高まりとともに、中国での生産体制は一部見直しを迫られた。今年1月には天津に事務所を開いて、現地生産者に農薬の使用量などを徹底的に指導している。
「大変な時期こそ、乗り越えればスムーズに流れ出すのではないかと思います。安心して食べられる中国産作物を、もう一度日本に持ってきたいですね」。消費者は、安くて品質のいい商品には敏感だ。不況のいま、ピンチをチャンスと捉える逆転の発想で商品づくりを進める(株)永島青果には、きっと大きなビジネスチャンスが待っている。

会社概要

【設立】 昭和54年11月
【代表】 永島 孝
【本店】 島根県江津市都野津町2307番地18
【電話番号】 0855-53-3777
【FAX番号】 0855-53-4100
【資本金】 1,000万円
【事業内容】 青果の卸売、生産、輸出入
【HP】 http://nagashimaseika.com/

メッセージ

 人間には必ず得手不得手があります。そして、たったひとつでも誰にも負けないものを持っている人は強いものです。従業員には厳しく接することもありますが、それは良いところを活かしてあげたいという愛情があるからこそできることです。仕事を通して、自分の人間性や能力を伸ばしてほしいと思っています。
 また、できるだけU・Iターン者がこの地域で腰を据えて活躍できる場所を作ってあげるのが地元企業の役目だと思っています。厳しい時代ですが、この石見部にもチャンスはあると思います。