子供たちに、一生忘れられないような
夏の思い出をあげたい

手弁当、持ち出しで頑張るスタッフと子供たちの笑顔が、島全体を巻き込み
島外からの参加が殺到する少年野球大会『ござんせCUP』という舞台を作り上げた

始動 スタート
 隠岐の島の子供たちにもっともっと島外チームと試合のできるチャンスと、交流の場を作ってあげたいと、 関係者たちが学童交流軟式野球大会を発案。当時の隠岐法人会専務理事・松田氏(現隠岐の島町長)らが賛同し、 隠岐法人会青年部会主催により2002年に県内4チームと島内4チームによる交流野球大会が開催された。 翌年には、法人会のメンバーを中心に実行委員会が組織され、大会名を『ござんせCUP』とし、第1回大会が行なわれた。 近いからこそ逆に来島する機会が少ない県内の人にも、実際に来てもらえることで、美しい自然や人の素朴さといった隠岐独特の魅力を伝えられるという思いから、 選手はもとよりチーム関係者、選手の保護者など、交流人口がふくらんでいくことも狙いのひとつだった。
実動 ワーキング
 第2回大会からは、コーチ同士が知己という縁から大阪府豊中市のチームも招き、試合以上に交流にも力を入れた大会が開かれた。 負けたチーム同士の交流試合も行なわれ、開会式も閉会式にも全てのチームが参加。日程の中に海遊びやマリンスポーツ体験の日を設け、 交流会では、地元の食材を中心にした海鮮バーベキューでもてなした。やってきた子供たちは島内の子供たちの家庭にホームステイした。
 回を重ねるごとに参加チーム数が増え、ホームステイ先が不足すると、有木地区や布施地区の児童のいない家庭の皆さんがホームステイ先となり、 マリンスポーツの体験の日には五箇地区の婦人会の皆さんが昼食にカレー作りを担当。どちらも、おじいさん、おばあさんたちがすすんで、 低予算で引き受けてくれたとか。バナナボートやシーカヤックなどのマリンスポーツ体験は、五箇地区の青年団体「五箇一番隊」が全面協力。
 交流会での海鮮バーベキューは、ガス、水道、電気設備などを生業とする実行委員会のメンバーが対応し、食材費はかかるものの、設備費はなんとゼロでやってしまう。
 試合会場となる各グランドには島内のチーム関係者たちが人海戦術によって、草刈りや軟式用ライン引きなどの整備を行なう。 いずれも炎天下の作業で決して楽なものではないが、島全体が子供たちの笑顔と、ボランティアを楽しむ気持ちで臨んでいるからこそ、 大会が続いているのではないだろうか。
困難 ハードル
 昨年で第5回を終えた『ござんせCUP』だが、ここまで決して順調に進んでこれたわけではない。 様々なイベントが行なわれる夏休みに開催するため、他のイベントと開催時期が重なり、日程調整も容易ではない。 参加チームが増える毎に、スタッフにも予測のつかない事態が次々と起こる。
 第3回大会開催直前、来年度の開催を危ぶむ声がささやかれ始めたとき、「これだけ島外から来てくれているのに」という実績、 「あれだけ参加者が楽しみにしているのに」という実感を肌で味わってきた実行委員のメンバーたちは、引き続き町の支援を松田町長に直訴した。 試合前の交流会で、参加者と触れ合った松田町長は大会がもたらす交流密度を自ら実感。支援延長を決めた。
前途 フューチャー
 大会が回を重ねる毎に、島全体で少しずつ認知されてきた。試合開催には欠かせない審判員や試合会場確保のための日程調整なども、 隠岐野球連盟の協力によりスムーズに決定。島民の大会を見守る姿勢にも変化が現れた。ホームステイ先として申し出てくれる地区も徐々に増えてきた。 それでも大会を運営する人手は不足している。幸いなことに、今は中学生となった大会参加者OBたちがボールボーイやスコアラーといった試合運営スタッフとして手伝いにきてくれる。 こういった形で次の世代の協力者が育っていくこともひとつの財産だ。
 予想しなかった大会の副産物に春の豊中遠征がある。これは、6年生たちが学童野球最後の思い出にと、隠岐選抜チームをつくって豊中を訪問する。 豊中のチームも2日間に渡り交流試合を催してくれる。宿泊はホームステイ、豊中市長の歓迎の挨拶に始まり、最終日には選抜高校野球大会を内野席で見学するというビッグなおまけつきだ。 大きな大会を見る機会の少ない島の子供たちにとって、甲子園の熱気を間近で感じることは、一生忘れられない経験になることだろう。
 次の大会の日程を早く知らせてほしいという問い合わせがあちこちの野球連盟から寄せられる。 一度参加したチームは例外なく次大会への参加を希望するが、ござんせCUPの話を伝え聞いた他の野球連盟からも参加希望の声があがってくる。
 「将来は“目指せ隠岐!”を合い言葉に各地で予選大会が開かれ、成績、マナー共に優秀な地区選抜が本戦出場するといった学童野球の聖地になれば」 と競技部を統括する小谷さんは夢を語る。島根の西部・東部、鳥取の西部・中部・東部、広島、岡山の選抜、それに豊中選抜…という大構想が実現する日も、いずれやってくるのではないだろうか。
プロフィール
ござんせCUP実行委員会
代表:原田 毅
発足:2003年4月
TEL.08512-2-2824(隠岐法人会事務局内)
「ござんせ」とは…
「いらっしゃいませ」という意味で使われる隠岐地方の方言。
イベント告知

第6回ござんせCUP開催予定
2008.8/22〜8/24