奥出雲町
天叢雲窯(あまのむらくもがま)

作陶に賭ける情熱と地域の支援が結実した
意欲溢れる若い窯元

地元企業の支援で設立した創作の舞台

 ヤマタノオロチ神話で有名な奥出雲町の名山・船通山の麓にある「天叢雲窯」。同町にある島根デザイン専門学校に併設された 「奥出雲陶芸研究所(現奥出雲工芸房)」修了生たちの活動拠点として、地元企業の横田建設株式会社が平成10年に設立。 現在は設立当時からのメンバーである野林律子さんを中心に、8名の若い陶芸家たちが創作に打ち込んでいる。
 窯唯一の専属スタッフでもある野林さんが管理リーダー的な役割を担い、他のメンバーはそれぞれの住まい(作業場)でろくろまでの工程を行なった後、 窯(仕上げ)を利用するのがここの基本的な仕組み。この“窯の共同利用”が天叢雲窯の特徴で、広い敷地内には、登り窯から穴窯、ガス窯、角窯など各種揃える。 また、旧家の米蔵を移築したギャラリースペースやレンタルスペースを備え、各人の作品発表や予約制の陶芸教室としての機能も持つ。
 設立以降、30余名の修了生がこの窯から独立していったが、「大きな窯元が次々に姿を消すなど、全国的に見ても陶芸家にとって厳しい状況」に創作を断念した人間も多い。 野林さんを除く現メンバーも陶芸専業とは行かず、それぞれ自力で販路を開拓しつつ、パートやアルバイトで生活を支えているのが実情だ。
 しかし、それでも陶芸を続けるメンバーだけに、賭ける情熱とやる気は人一倍。その熱いマインドは、自分たちの作った陶器で奥出雲町に喫茶店を開く夢を持つ作家の夫妻や、 地元男性との結婚を機に定住して活動する東京出身の女性作家をはじめ、それぞれ地域の愛着へも繋がっている。

これからは“天叢雲窯らしさ”をもっとアピール

メンバーや修了生、作家仲間たちによる展示会では、個性豊かな作品が揃う  これまでも他ジャンルの作家とのコラボレーションなど行なってきたが、「もっといろんな事にチャレンジして、天叢雲窯ならではの面白さを発信していきたい」 と野林さん。ギャラリー2階にある広いレンタルスペースも、大きな梁が印象的な魅力溢れる空間で、新しい試みなど、表現する舞台としてのポテンシャルも充分。 来春には、東京からミュージシャンを招き、陶芸と音楽のコラボレーションも予定している。こうした参加型のイベントを企画するのは、「地域の人々にもっと天叢雲窯をPRしたい」という思いもある。
「町の大半の人は、何かやってる元気な所くらいの印象らしく、活動内容など、意外と知られてないんです。せっかく縁があってここにいるのだから、私たちの存在が元気な町づくりに活かせたらと思っています」。 創作家たちの意欲溢れるチャレンジが、奥出雲町の新しい栄養分になっていきそうだ。
地元企業「横田建設株式会社」の代表、大谷隆壽氏の支援で平成10年に設立。 設立以来、30余名の意欲的な作陶家たちを輩出し、現在8名が奥出雲町で創作に励んでいる。 窯名は、地元・船通山と縁の深い、三種の神器「天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)」から大谷氏が命名。 代表格の野林律子さんは福岡出身。東京在住の時に参加した“田舎暮らしイベント”内で横田町(旧)のブースに興味を持ったのをきっかけに奥出雲町へIターン、陶芸を学ぶ。
横田建設ホームページ http://www.yokotakensetsu.com/
(※天叢雲窯の詳細は、トップページより“地域づくり”をクリック)