釣り人のメッカとして有名な隠岐諸島の中でも、超一級の釣り場のひとつが二股島。但馬屋が所有する4 隻の渡船は、みな「ふたまた丸」。但馬屋を利用する客の多くが馴染みの釣り客だ。



自宅の空地で野菜作りに初チャレンジ。

 


 大きくうねる波を物ともせず、正確な舵取りで釣り客を岩礁ポイントまで送り届ける宮崎雅也さん。都会生活者から見れば、驚くほどアドベンチャーな作業を日頃の生業として平然とこなすその姿は、本当にIターン?と疑いたくなるほど。
 宮崎さんの職場は、海士町の民宿「但馬屋」。この民宿は「じっちゃん」と慕われるオーナー宇野茂美さんが、本業の畳屋の傍らに始めたもので、県内外の釣りファンたちにはちょっと知られた存在。仕事は民宿と畳屋だけに留まらず、釣り客をスポットへ渡す渡船業、さらに漁業、農業と多岐にわたり、そのすべてをオーナーと宮崎さんが中心となって運営している。
 宮崎さんが海士町に来るきっかけとなったのは、当時在籍していた一橋大学へ、海士町の中学生たちが修学旅行を兼ねて見学に訪れたことに始まる。同伴する海士町の人々の魅力的な人柄も手伝い、海士町という土地に俄然興味が湧いた宮崎さん。決定的だったのは、役場の人に聞かされた、乾燥ナマコ・アワビを中国大陸に出荷するという構想だった。
 「離島が大国を相手に商売をするという壮大なプランに魅了されたんです」。大学卒業後は「食」に関する仕事を希望し、「とにかく現場が見たい」と最初に海士町を訪れたのが一昨年の夏。そこで紹介されたのが、但馬屋とその主である茂美翁だった。「乾燥ナマコの見学のつもりが、いきなり但馬屋でしょ。戸惑いましたが、じっちゃんを始め、但馬屋の家族たちの自給自足を実践するようなバイタリティ溢れる日々の暮らしぶりに大いに感銘を受けたんです」と宮崎さん。
  但馬屋での暮らしから、「『食』にとって、生活がいかに大切かを思い知った」という宮崎さんは、大学卒業と同時に、新たな目標と定めた“自然に密着した「食と生活」”を探究するため、ふるさと島根定住財団の産業体験制度を利用して1年の産業体験期間を終え、今では但馬屋にとって無くてはならない存在となった。目標は、「但馬屋でやっていることすべてを身につけること。身につく力があれば、どんな状況になっても何だってやっていけますから」と笑う。強い信念と確固たる目標が、逞しいIターンライフを支えているようだ。

   
人間が自然の恵みに支えられて生きていることを実感しました。自然への感謝の気持ちが日増しに大きくなってきていますね。   困ったことは特にありませんが、この島で家庭を持ち、子どもを育てたい気持ちが強いので、まずは彼女を募集中です(笑)   農業面をもっと強化して、さらに自給率を高めていきたいですね。
     
BeanS topバックナンバーVol.25 》UIターンの先輩たち