神奈川県横浜市→安来市伯太町にIターン
山田 文さん(26歳)
 
    personal data
〈出身地〉神奈川県横浜市〈仕事〉自宅にて出雲織で独立開業※現在は無料で借りている畑での野菜作りにハマっているとのこと。夏の収穫を楽しみにしている。
 
       
藍染に使う藍も自分で育てる。乾燥させるのが大変だそうだ。

 チューリップ産地として知られる緑豊かな安来市伯太町。ここに、地域の人に支えられ、充実した日々を送る女性がいる。出雲織の技術を勉強し、この春独立したばかりの山田文さん(26歳)だ。
 彼女が島根県にやってきたきっかけは大学時代のこと。山田さんは、東京の大学で染色を専攻。やがて、天然素材を使った自分だけの染め織物づくりを求め、全国を巡る旅に出た。「徳島、奄美大島など全国各地を訪れました。奄美大島では卒業 制作までしました。でも、工房では人を雇うことができる状態になくて…。そんな時、ふと山陰には一度も訪れていないことに偶然気付いたんです」。
 そこで彼女は安来市で活躍する出雲織の大家・青戸柚美江氏の門を叩き、工房に入る。「先生のそばで習いたい人も沢山いたので幸運でした。それに京都や奄美の分業制度と違って、出雲織は藍の栽培から染めまで全ての工程を行います。染色の全工程を学べるので、私の希望にもピッタリでした」と当時を振り返る。  
 心を決めた山田さんは、ふるさと島根定住財団の産業体験事業助成金制度を利用し、安来市にIターン。それまでの染めに加えて、機織りの勉強も始めた。糸を紡いだり、細かい穴に糸を通したりする作業の毎日に、続くかどうか不安な気持ちが続いた。しかし、その不安も完成の喜びともに消え去り、同じ工房で学んだ先輩達のように専門家として生活出来るようになりたい気持ちが強く なっていった。やがて2年間の研修期間を経て独立。現在に至っている。
 「昔からやってきたことは大事だと感じている近所の方々が、応援してくださるので本当に助かってます。 お米や野菜もいただくことが多くて、食費はあまりかかりません。家賃も都会と比べると格安なのですごく気に入ってます。そう、この前大家さんが『今夜はすっぽんだ』って言うんですよ。そんな高級料理を食べるなんてすごいなぁと思っていたら『前の川で釣れた』ですって。次は私もチャレンジします!」と笑う。
 染めと機織り以外に、自然と島根ライフを極めつつある山田さんの笑顔が印象的だった。


※写真右上・・・もうすぐ独立してから初の反物が織りあがる。いろいろデザインを工夫した小物織も行っている。

<UTターンまでの流れ>
(平成10年)東京造形大学デザイン学科で 染色を専攻。将来的に天然の染料を使った 染色家になろうと決意。
(平成13年)大学4年生になる春に将来を考え 全国の染色家を訪ねる旅に出る。〜最終的に合計5ケ所
(平成13年)安来市の出雲織の大家・青戸柚美江先生を訪ねる。
(平成14年)大学卒業とともに産業体験事業助成金などが 活用できる、青戸先生の下に住み込みで弟子入り。
(平成15年)伯太町内に住まいを見つけ移住。
(平成16年)研修期間を終え独立。
>>アドバイス
地域の方と積極的に交流を
都会と違って周りの人と関わるのが楽しいから、そういう気持ちを持ち続けたらいいんじゃないかな。昔からの日本の文化がせっかく色濃く残っているから、自分から開いて中に入ることが必要だと思いますよ。本当に伯太は四季と旬のわかる良い町です。
>>不安と解決のためにしたこと
●不安だったこと
集中力のない自分に本当に機織りができるかが1番不安でした。
●解決のためにしたこと
完成の喜びがこれまで以上のものになることを知って、さらにいろいろ細かい部分まで自分でチャレンジするように。今後は仕事のスピードUPが課題。


BeanS topバックナンバーVol.17 》島根で暮らすUIターンの先輩たち