- ふるさとの手紙 八雲の村から冬だより -

啓介様

熊野大社の前を流れる意宇川に、ぼちぼちネコヤナギが芽を出して、フキノトウもちょんぼしずつとれえやになりました。元気でやっとられますか。
今年の冬は少しぬくくて、ばあちゃんの膝や腰も少し楽な気がします。
せんど、節分についた餅を送ったが、届きましたか。都会には餅のりがないと思って、のりも一緒に入れときました。それと、ユズの煮たのも。たまには、届いたてて連絡のひとつもいれなはいや。
ここらへんは、この間、星上山の「おおもっつあん」がありました。男しが星上寺に餅を担いで上がらいて、賑やかでした。啓介も、そろそろ村にもどって、餅をかつぐやにさんといけんがな。こっちで嫁さんでももらっての。
せんだって、おじいさんは、去年できた八雲ふるさと館で、地元の子どもしやつとわらじを編んで、ばあちゃんは、お手玉を作って一緒に遊びました。近ごろは交流がさかんで、小学校に行って昔の遊びを教えてあげたあして、なかなか楽しもんです。 啓介も、この間までこめこめもんだったと思っとたに、もう、都会で働いとるだけん。早えもんだわね。
おとさんも、おかさんも元気です。おかさんは、宍道の八雲本陣で同窓会があって、その後は玉造温泉のえらい大きな風呂に入ったてて、喜んで帰らいました。宍道でも玉造でも、近てもなかなか行かんだけんね。おとさんも腰が痛いだけん、玉造の大きな病院に通ったり、ホットランド八雲に通って温泉プールで泳いだりして、だいぶ楽になったててことです。
八雲も、もうすぐ合併で、八雲村にするか八雲町にするか、なかなか名前が決まらんげな。なんだい、わけしやつは、村のままがええてて言っちょらいしが多いげなども、どげんなあことやら。この手紙がとどくころには、決まっちょうげなが、啓介も帰って、八雲村のことをいろいろ考えてごせ。わけときは、都会もええかもしれんが、年とおと、田舎がよんなーでね。ぼらぼらっとしとっての。
なかなか今ごろは就職が難しいげなが、おとさんに、よおよお相談して帰ってこらっしゃい。 まっとおけん。おじいさんやばあちゃんの元気な内に、ひ孫の顔でも見せてもらあと、ええけどなあ。待っとおでね。

ばあちゃんより

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大餅神事
大餅神事
八雲村の星上寺に伝わる古くからの神事で、地元では「おおもっつあん」と呼ばれる。毎年1月17日の早朝、岩坂村内の地区から大きな餅を出して男衆がかつぎ、若松を唄いながら村内を練り歩いて民家を回り家内安全を祈る。昔は、一石の餅を御輿のようにして、大勢でかついだという。
八雲ふるさと舘
八雲ふるさと舘
ユズが実る冬に、出雲地方の家々で作られるゆこう。ユズを刻んで種を取り、茹でて湯をこぼし、2度目に茹でた湯に一晩浸ける。翌日、水を切り好みの量の砂糖を入れて煮る。餅米を入れて煮ると、もっちりとして、これまた美味。この時季、田舎には欠かせない甘いお茶口だ。
ゆこう
ゆこう
農作物を作って収穫したり、地元のおじいさんやおばあさんが先生となって昔の遊びを楽しんだり、そばなどの伝統食作りなどを体験できる施設が、平成15年の春、熊野大社の隣に開設した。 中には昔の学校の教室を再現した部屋と調理室があり、温かい雰囲気で農村体験ができる。

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