木次乳業有限会社
 
オムロン出雲株式会社
●設立/昭和37年 ●資本金/1000万円 ●従業員数/50名
●住所/島根県大原郡木次町東日登228-2
TEL.0854-42-0445 FAX.0854-42-0400
[会社概要]○牛乳、ナチュラルチーズ、ヨーグルト、アイスクリームなど乳製品の製造販売
○有機農産物の販売

牛乳の“本来の味と栄養”を 山地酪農と独自の低温殺菌法で提供
口に含んだときはサラッとしているのに、のど元を過ぎるころに感じる甘味とコク。そして、グラス1杯のミルクが身体に沁みわたるころに訪れる、さわやかな後味。濃厚でこってりとした味に馴染んだ舌には拍子抜けするかもしれないが、それが木次乳業の『パスチャライズ牛乳』(生乳100%使用)の持ち味だ。製品名の語源・パスチャリゼーションとは、生乳(搾りたての牛の乳)の持つタンパク質とカルシウム・ビタミン類などの栄養分を損なわず、病原微生物の危険性を最小にする熱処理を加えた牛乳のこと。熱処理は63℃という低温で30分、あるいは72℃で15秒という2種類の殺菌法がある。市販されている多くの牛乳は、100%の生乳を使用しても120〜130℃の高温でほんの数秒間熱処理が行われる。すると、殺菌力は高まるが、タンパク質が変性してカルシウムが消化吸収されにくくなり、本来の味も失われてしまうのだ。
木次乳業では、昭和50年から低温殺菌乳の開発に取り組み、53年に日本で初めての『パスチャライズ牛乳』を世に送り出している。それは、生乳に含まれる悪い菌だけを殺し、人間の身体に良い働きをする微生物は生かす。そして、健やかに育てられた牛がもたらす恵みの味と栄養分を、できるだけ自然な形で食卓に提供するという技術の開発によるものだった。この研究心は、県内外の“安全でおいしい食品を求める人たち”に呼応し、販路が広がりを見せると共に自社でのナチュラルチーズ開発へとつながる。
しかし、佐藤社長は全国からのラブコールに対応する。「大自然のしくみの中で生産に携わるかぎり、工業製品のように大量生産はできません。あくまでも小規模に、自然のものをできるだけ自然に近い状態で可能な範囲の人たちに提供する。その姿勢は、創業以来変わっていません」と、冷静に語る。

「食品製造業の要は素材に尽きる」 という言葉の持つ重み
木次乳業の誕生は、昭和28年、それまで奥出雲で盛んだった農耕用の和牛の子牛生産に替わって、乳用牛の飼養が始まったころにさかのぼる。木次町内でも乳用牛の飼養に着手する営農家が現れ、6名の有志が昭和30年から町内の牛乳業者と共同で生乳の処理を行い、「木次牛乳」として販売するようになる。有志の1人が木次乳業(有)佐藤貞之社長の父親、忠吉氏(前代表取締役・現相談役)であり、町内にゼロから酪農を定着させた先駆者だ。ところが、そのチャレンジは決して順調ではなく、農業全体にまたたく間に広がった農薬・化学肥料の使用が、乳牛に疫病を発生させ、大きな被害を被ることとなった。しかし、この出来事から“牛乳の良し悪しは牛の健康と、その環境に大いに依存する”という真実に行き着き、創業者たちを奮い立たせた。こうして、昭和40年代初頭から自然・家畜・人にやさしい有機農法への取り組みが始まり、酪農以外の生産農家たちにも少しずつ理解され、現在も受け継がれている。
おいしい牛乳=健やかに飼育された牛=原乳の質。パスチャライズ牛乳の開発で、日本の牛乳製造に一石を投じた木次乳業の探求心は、とどまることが無い。平成元年には日登地区の山間に開設した牧場に、アルプス原産の乳牛・ブラウンスイス種を導入。奥出雲の地形・気候に適した牛で、ホルスタイン種よりも乳質が良い。ただし、乳量が少ないため、大量生産には向かないのだ。そこで、ブラウンスイス種という上質の原乳を得て、平成3年、日本で初めてチーズの王様と称されるエメンタールチーズ(硬質の穴明きチーズ)の開発に成功。また、スーパープレミアムアイスクリーム「マリアージュ」も開発した。
自然と向き合いながらの本物の食品製造を貫く木次乳業は、これからも奥出雲の木次町から、豊かな食文化を提唱し続けていこうとしている。

[佐藤 貞之(さとう さだゆき) 代表取締役(56歳)
昭和22年木次町生まれ。県立三刀屋高校を経て、茨城県の農業専門学校「鯉淵学園」へ進学し、おもに畜産と簿記を学ぶ。同校卒業後にふるさとへUターン。木次町役場の職員として13年間勤務する。昭和58年、35歳で木次乳業(有)へ入社。平成8年に父親(忠吉氏)の後を受け、代表取締役に就任。生まれたときから接している奥出雲の水と空気と土、そして出雲弁は、他地域には無い“地元の共有財産”。後生にしっかりと受け継がれてほしいと願う。

日本初のエメンタールチーズ開発は
酪農家と社内スタッフのチームワークの結晶
平成3年、木次乳業は国内初のエメンタールチーズの製造開発に成功している。2〜3ヶ月の熟成期間中にできる、いくつもの気孔(丸い穴)が特徴のエメンタールチーズは、木の実のような芳しい香りとほのかな甘味があり、それは高品質の牛乳と丹念な手作業によって醸し出される。原料は“スーパーフレッシュミルク”と呼ばれる雑菌の少ない生乳が不可欠。また、乳質の検査から始まる製造プロセス(100項目以上)に多くの手間と気配りが必要だ。餌料・搾乳方法などにきめ細かいこだわりを持ち、チーズの完成をわが子のように見守る酪農家の熱意、そして木次乳業の社員たちの気持ちが一つになったことで、エメンタールチーズ開発が実現したのである。 ※なお、このエメンタールチーズは販売いたしておりません。
オムロン出雲株式会社
キラリカンパニーバックナンバー》
Vol.14 Vol.13 Vol.12 Vol.11 Vol.10 Vol.9 Vol.8 Vol.7 Vol.6 Vol.5 Vol.4 Vol.3 Vol.2 Vol.1 

BeanS topバックナンバーVol.10 》キラリカンパニー