- ふるさとの手紙 夏色の島根半島から -
おい、まめなか。
俺は、あいかわらずだ。今年は、盆に帰ってコン買ったな。まあ、俺もなんだかんだ忙しくて、バタバタしてたけどさ。
しかし、今年は暑かったなあ。俺は、仕事の合間をみては、海で泳いでたよ。 おかげで真っ黒だ。都会じゃ、なかなか泳ぎに行くっていっても、大変だろ。俺は、この島根半島から出たことがないからわからんけど、こっちは海の色がちがうって、よく言われる。今でこそクラゲが出てきたし、もう秋の気配がしてきたけど、今年も海水浴客が多かったわ。
7月には北浦で全日本海上綱引き大会があったし。今年は芸能人が来てさ、特に賑やかだった。俺も、消防団でかり出されてさ。去年は優勝したけど、今年は準優勝だったよ。
ところでこの間、広報誌にさ、中学1年の時の担任の先生が載ってたよ。あの先生、安来節の「どじょうすくい踊り」が得意だったよな。ほら、卒業式の前に、「おまえらも郷土芸能の一つくらい披露できんといけんぞ」とか言って、手ぬぐい巻いて鼻に5円玉つけてさ、ザル持って踊らされたよな。 その先生、この間、安来市の「安来節全国優勝大会」の名人の部で出たんだってさ。名人って、なかなかなれんらしいぞ。元気そうな顔で広報誌に写ってた。また、同窓会したいよな。
今年は、親戚に初盆があってさ。シャラ船もでかいの作って流してたよ。あれ見ると、ほんと、盆さんだなって思う。そういえば、シャラ船流すとき、港でお前の親父さんに会ってさ。「どげ、しとーやら」って、言ってたけど、ほんとは帰って来て欲しそうだったぞ。親父さんも、一緒に船に乗りたいんじゃないかな。漁師も後継者不足だし。せっかく船があるんだし。帰ってくれば、お前の好きなヨットも、半島の海で思う存分できるがや。
で、さしあたって、今度はいつ帰るんだ?俺も盆は、町内の仮装大会やイベントで忙しかったけん、ゆっくり休めんかったし、お前に合わせて有給とるよ。そん時、釣りに行かんか。この間高崎鼻で40センチ級のクロが釣れたって、ちょっとした話題だったけん。磯でがいなチヌでも狙うか。
ま、待っとーわ。 じゃ、またメールごせや。

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ベベ飯とクロツマンの味噌汁
岩にところ狭しとくっつく小さな貝。海辺の磯でよく見られる光景だ。ベベ、クロツマン(イガイ)、カメの手、ニナ。どれも、半島の子どもたちなら捕って遊んだ貝たちだ。一度、捕り損ねると岩にものすごい力でくっつくので、ドライバーなどを使うと捕りやすい。ベベ貝は「ベベ飯」に、イガイやカメの手は味噌汁に。ニナは醤油で煮て食べる。そういえば、よく、サザエやアワビをもぐって捕って、磯で松葉を集めて焼いて食った。あれは、うまかった。

雲津の盆行事
<石倉勇さんに聞いた話>
賽の河原の石積み

盆が終わり、翌日の17日。誰もがハナの木を持って神社の裏の賽の河原へ行く。そして、線香を立てて、自分の歳ほどの石を積む。20歳くらいまでは石も積むことができるが、それ以上の年齢になると、大きな石をいくつか積むという。

ごりんさん
島根半島の突端の雲津では、8月16日、地区内のお寺に祭ってある五輪さんに、盆行事で残ったロウソクを全部立てて灯す風習がある。この辺りは、戦国時代に毛利・尼子の古戦場だっことから、五輪の塔がよく見られるらしい。

お盆の風物詩
シャラ船

海辺には、盆の最終日に海に船を流すという、昔から伝わる盆送りの行事がある。その船のことを「シャラ船」と言って、昔は藁で作っていた。近年は藁が少なくなったので、初盆の家は木で、それ以外は厚紙で作る。そして各家々の船の上にお菓子や果物、だんごなどのお盆のお供え物を乗せ、花で飾り海に流す。念仏を唱えながら船が見えなくなるまで見送る風景は、海辺ならではの夏の終わりを告げる風物詩だ。

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