外谷製紙 株式会社
 
和紙のふるさとから、時代を先取りした新素材・新製品を開発
松江エルメック 株式会社
●創業/明治32年 ●設立/昭和49年 ●資本金/1000万円 ●従業員数/8名
●住所/島根県八束郡八雲村西岩坂116 TEL0852-54-0013 FAX0852-54-1116
[会社概要]○書道用和紙、墨絵用和紙の製造・販売 ○ゼオライト・トルマリンなどを利用した新素材和紙など、健康・衛生・介護用品などの開発、製造、販売

健康グッズ、“トルン・ループ”のヒットはゼオライトとの出会いから
手首に巻きつけた姿は、ブレスレットを装着しているようにさりげない。しかし、その手軽さと裏腹に、秘められた健康促進パワーを発揮するのが“トルン・ループ”だ。シリコンゴムの細いチューブの内側には、粉末状にした天然鉱石のゼオライトとトルマリン(電気石)が入っている。それらがチューブ内で空気に触れながら互いに摩擦しあうと、マイナスイオンと遠赤外線が発生し、血行を促す。気になる痛みを緩和させる効果があるというわけだ。冷え性や肩凝りで悩む若いOLから口コミでじわじわと評判が広がり、東急ハンズで販売したところ若者を中心に人気に火がついた。一方でプロスポーツ選手にも愛用者が多い。この春から、関西の大手スポーツ用品メーカーと本格的に業務提携し、さらに販路が広がったヒット商品なのだ。
トルン・ループを誕生させた外谷製紙株式会社は、創業100年を越える和紙製造の老舗だ。出雲和紙で名高い八雲村で、明治時代から書道用の藁(わら)半紙を中心に高い品質を誇っていた。しかし、時代の変化とともに洋紙の普及・少子化にともなう書道人口の減少など様々な要因が重なり、藁半紙の消費が落ち込みはじめ、和紙自体の存在感が薄れつつあった。
今から20年ほど前、外谷社長は当時島根県が特産品化を目指して研究を進めていたゼオライトに着目。脱臭・遠赤外線発生・イオン交換などにすぐれた「ゼオライト入り和紙」の開発に取り組み、足掛け10年で商品化させた。「和紙の持つ特性を広く理解してもらいたい。当社の技術を生かし、何か新しいものを開発したい、と奮起したのが始まりでした」。このチャレンジが脱臭・抗菌・通気性に効果を発揮する新素材の生産に結びつき、介護・医療・住宅の壁紙、和装小物といった分野からもラブコールを送られる。そして、ゼオライトの効果を突き詰めていく中で、トルン・ループの開発にも着手することになった。

新開発はじっくりと取り組む途中であきらめないことが肝心
3年前、ゼオライトなどの効用を伝えるための“説明商品”として送り出したはずのトルン・ループは、外谷社長の予想を裏切りヒット商品に成長した。同じようにゼオライトとトルマリンを配合した和紙のシーツを加えたトルンシリーズは、今や売上げの7割を占めている。今年3月期の売上高は1億2000万円、来年度は3億円に達する見込みだという。
しかし、最初から爆発的に売れたわけではない。「ベンチャー事業はコツコツと続けていくことが大切だと痛感しました」と、外谷社長は語る。異業種の会合に積極的に参加し、自社の技術を地道にPRし続けたことが、和紙と天然鉱石の融合から生まれた新素材の開発やユニークな商品開発につながっているのだ。
和紙は、麻・ミツマタ・コウゾ・藁といった天然植物を原料に作られる。その中で特に繊維が短い藁は、インクや墨の吸い込みが良いという特性を持っている反面、紙漉きには高度な技術が必要だ。和紙を主体とした新素材の開発は、藁半紙を主力製品としている外谷製紙の技術力がベースにあってこそ。「基本は、和紙のある暮らしを提唱していくこと」。外谷製紙は時代のニーズを先取りした親しみやすい商品開発に伝統の技を生かし、“古さの中に新しさが光る”製品を八雲村から全国に発信している。

[外谷 眞治(とや しんじ)代表取締役(62歳)
昭和14年島根県八雲村生まれ。松江高校(現松江北高校)卒業と同時に家業の紙漉き業に従事、伝統的な手漉きの和紙生産技術を身に付ける。30歳のときに先代の社長を亡くし、外谷製紙の四代目を継ぐ。昭和49年、外谷製紙株式会社設立にともない代表取締役に就任。伝統を守りながら、異業種との交流をもとに、和紙の特性を生かした新素材の開発や新事業にも積極的に取り組んでいる。一男三女の父親。趣味は40年来の磯釣り。

トピックスシルバー世代の健康・生きがい・
ネットワーク創りにも一役
トルンシリーズの開発は、外谷社長に新しい出会いをもたらした。昨年11月、出雲に開設したボランティア団体「WACしまね」は、地域の中でシルバー世代が生きがいを感じ、人と人とが交流するためのネットワーク構築を支援する社団法人長寿社会文化協会(本拠地・東京)の島根での拠点だ。体力・障害の度合いに応じたリハビリ訓練の実践、高齢者の痴呆症予防と改善指導、趣味の講座開講…など活動内容は多彩。外谷社長は、この「WACしまね」に役員として参加。長寿社会にマッチした新製品の研究・開発を通して貢献したいと、意欲を燃やしている。
松江エルメック 株式会社
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